マスタードオイルとは
マスタードオイルはマスタード(Brassica juncea)の種を圧搾して得られる辛味のある黄色の油である。マスタードシードの成分の30%は油。
生の段階では苦味とキレのある風味があるが、使う際は煙が出るまで加熱することで辛味がまろやかになる。多くのネパール家庭で主要な食用油として使用されている。古代インドでは広く使われていたが、現在でもよく使われている地域は主に東インド、ネパール、バングラデシュなど。最近では北インドやパキスタンではマスタードシードの代わりに外国産の大豆油やキャノーラ油など精製植物油脂が広く使われるようになっている。儀礼用やヘアオイルとしてなど食用以外の使用の用途も広い。
マスタードに含まれる辛味成分はアリルイソチオシアネートであり、わさびやホースラディッシュなどと共通する「シャープ」と表現される鼻に抜けるような辛さである。
マスタードオイルの使い方
加熱して使う場合。揚げ物、ソテー、アチャールなど何にでも使うことができるが、まず最初に煙が出るまで加熱することが重要。香りが立ち、辛味が飛んで味がまろやかになり、食材に味が染み込みやすくなる。発煙点は約249℃。
ベンガル料理やネパール料理のレシピではマスタードオイルを多用するが、必ずしも全ての料理に使う必要はないと思う。特に日本人には馴染みのないキツイ香りだったりするので苦手な人も多い。煮込み料理に使いすぎるとマスタードの香りはほぼ飛んでしまう一方、エグみが全体に回って支配的になってしまう。
生で使うことでわさびのような風味をつけることもできる。ナスやシーフード料理と相性がいいので、基本的な調理はサラダ油を使い、仕上げにちょっとだけ垂らして香らせる程度に使うのもおすすめ。もしくはマスタードオイルの半量をサラダ油に置き換えるのもよい。
マスタードオイルがない場合はサラダ油に練りカラシを溶かすと、近からず遠からずといった味わいになる。代用にはならないのであくまで簡易的な使い方。
マスタードに含まれるアリルイソチオシアネートはわさびにも共通で含まれる成分であり、刺身をマスタードオイルと醤油で和えて食べると美味しい。わさびや練りがらしなどとはまた違った食体験があるのでぜひ試してほしい。
防腐作用があるため、アチャールなど保存食を作る場合はマスタードオイルを積極的に使うと長持ちする。
マスタードオイルを使ったレシピ
東京マサラ部noteで西ベンガル料理のレシピを紹介しています。
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ツンとくるクラシックな香りのマスタードオイルはこちら。
コールドプレスの、ツンとこない上品な味わいのマスタードオイルはこちら。コルカタの油にこだわっている家庭で体験したものとそっくりな味わいです。
マスタードオイルの各言語の呼び名
日本語:芥子油
英語:mustard oil
パンジャーブ語:ਰਾਈ ਦਾ ਤੇਲ Rā’ī dā tēla
ヒンディー語:सरसों का तेल sarason ka tel
ベンガル語:সরিষা তেল Sariṣā tēla
マラティー語:मोहरीचे तेल Mōharīcē tēla
タミル語:கடுகு எண்ணெய் Kaṭuku eṇṇey
オディア語:ସୋରିଷ ତେଲ
ネパール語:तोरी को तेल Tōrīkō tēla
テルグ語:ఆవనూనె Āvanūne
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