その他食体験

ビリヤニ大澤(神田)

ビリヤニのもとに人間を集わせるスタイルのシェアハウス「ビリヤニハウス」を拠点にビリヤニを作り続けてきた大澤さんがついに神田にビリヤニ専門店をオープンされた。

NHKの特番や夏のdancyu、『ビリヤニ』本にも大きく取り上げられていたこともあり、クラウドファンディングでの大成功は大きな話題となった。

毎日20時に来週の分の予約が公開されるシステムで先着順のため予約を完全に諦めていたのだが、本当にたまたま予約がとれたので行ってきた。

初めての方は一巡目がおすすめということだったが予約できず、二巡目に。


不思議な緊張感の中でビリヤニを食べる

この日のビリヤニは「マトン」一択。他の選択肢を予め断ち切っていくスタイル。

看板は得体の知れない料亭みたいな佇まいである。寿司屋さんか割烹のよう。そういえばビリヤニ好きは米好き、寿司好きな人が多い。

思うに、ビリヤニ職人は多くのカレーヤーとは少し像がずれると思う。寿司とカレーとラーメンの共通点をもってきたらビリヤニになるのではないかというようなところがある。ビリヤニ好きの人たちはみなカレーの人のように浮気せず、ひとすらにビリヤニの「道」を追求している。

地下一階の店内に入るとそこはコの字型のカウンターが。各々、予約した際の名前を告げて着席する。お一人様の客が多く静かな店内は、期待と不安の入り混じった不思議な緊張感に包まれていた。

本日のマトンの部位はミックス。説明の紙の他にはビリヤニを食べるための琺瑯のスプーン、お冷、骨を取り出すためのカトリが並べられる。

店内に客が全員揃うと、2つ質問がなされる。

1つ目は、「手食される方はいらっしゃいますかー?」という質問だ。
聞けば、このお店は手を洗えるようにカウンターの後ろをちゃんと通りやすくしてあり、トイレのスペースも無理やり狭めて工事し、手を洗いやすいように設計してあるらしい。

さらに、手食用の皿とスプーン用の皿は分かれている。右の深さのある皿はスプーン食用、左の平たい皿は手食用だ。手で食べる人はだいたい50人に一人らしい。


スプーンはホーロー製で、これを使えば手食するのと大差ないくらいおいしいというが、気になったらぜひ手食にもチャレンジしていただきたい。自分は手を上げなかったがなぜか強制的に手食になった。骨付きマトンは結局手で食べたほうがおいしいし、ビリヤニは手で食べるのが自然な食べ物だ。

2つ目の質問は「コーラを飲まれない方はいらっしゃいますかー?」だ。普段コーラを飲まない自分でも、ここのビリヤニを食べてコーラを飲まない選択肢はない。
餃子にビール、牛乳にアンパンなど至上の組み合わせはいくつかあるが、ビリヤニにコーラは欠かせない。コーラにもスパイスがたくさん入っているので、共通する香りの要素がたくさんあるのだろう。ジャンクにはジャンクを重ねる。

クエスチョンが終わると、まもなくビリヤニの入った大鍋が運ばれてくる。

蓋が開くとどよめきがあがり、立ち上がって写真を撮る人も。

そして順番にビリヤニが盛られていき、着皿となる。白い部分は天使の羽のようにふわふわし、きれいだ。

このときに立ち上ったコリアンダーリーフとマトン、スパイスとフライドオニオンなどが混じり合った香りが深く脳裏に刻まれ、未だに忘れられない。

レギュラーは500g、フルは800gあるそうだ。(ちなみに100gで180kcalあるらしい)

よく洗った手で米を掴むと、当たり前だがめちゃくちゃ熱い。皮膚を騙しながら食べる。

うほっ。一口目の塩分はかなり強めに感じた。コンフィされて柔らかくなったマトンとフライドオニオンが溶け合ってガツンとくるうまみが伝わる。

なによりライタが完璧だった。細かく刻まれた野菜とヨーグルトのコク。ビリヤニが寿司だとしたらライタはガリ。名脇役である。

右手で米粒をかき集める。口に放り込む。咀嚼する。コーラを飲む。右手を繰り出す。たまにライタをかける。世界は自分とビリヤニしかなかった。

800gもあったはずなのに夢中で食べすすめるうちに、ビリヤニはあっというまになくなってしまった。

LAL QILLA SPECIAL OLD MALAIというあまりビリヤニ向きではない米をあえて使ったふわぱらのこのビリヤニは、パキスタンのパッキビリヤニにルーツがあるらしいが、インド料理でもパキスタン料理でもない。ハイデラバーディ・ビリヤニは油で表面をコーティングするような形でふわふわになるが、このビリヤニは米に蒸気をまとわせる形でしっとりさせ、蒸らし時間も持たない。

ビリヤニはとても繊細なもので、炊いてからの経過時間や温度、盛り方でも全く食感が違ってしまう。一巡目と二巡目では結構味が違うらしく、今度は改めて一巡目に行きたい。


カウンターの上にあるこのマシーンは冷凍肉を切るための電動ノコギリだという。マトンの肉の塊や冷凍された状態で送られてくるアナグマなどはこのノコギリで真っ二つに切るんだとか。

これからアナグマのシーズンに突入!糸島で偶然手に入ったアナグマから生まれたというあのアナグマビリヤニを早く食べてみたい。


お店の情報

現在、Twitterからの予約のみ。毎日20時に一週間先の予約が公開される。毎月月末の1週間はお休みとなる。

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