鳥越にあるShreeji Foodsは実はレストランではない。お寺と家とデリバリーキッチンを兼ねた施設とでも言おうか。本来は家族や同じ宗派の仲間向けに作ったキッチンだったが、デリバリー限定で料理の提供もできるようにしている。
今回は顔馴染みの人を通してラージャスターンの料理をリクエストして食べに行ってきた。
ラージャスタン州ジャイプール出身のオーナーさんの本業は宝石商で、料理は奥様の担当。
元々ジャイナ教徒だったが、最近厳格なヒンドゥーの新宗派に入信。肉魚はおろか、ニンニク玉ねぎも食べてはいけないピュアベジなので、日本人には理解しづらい感覚であるが、海外に行くと食べ物に困る。
そのため同じ宗派の仲間達が世界中にいて、その国に行くときは互いに連絡し合い、交代してホスト役を担当するのだという。東京ではここがその拠点となるわけだ。
西インドラージャスターン州とグジャラート州出身の人々は伝統的に宝石関係の仕事をしている人が多く、徒町周辺に多く住んでいる。以前ラージャスタン料理を食べに訪れたヴェジハーブサーガのオーナーとも知り合いだという。
室内に立派なお寺スペースがある。各国に同じ宗派のお寺があり、日本ではここだけだという。同じ宗派の中では世界で一番小さいという。
Mirch Vada
オーナーさん出身のジャイプール名物。辛くない甘長唐辛子の中にマッシュポテトが詰まっており、ひよこ豆の粉の衣をつけて揚げたもの。
チャートマサラ的なものがかかっている。どちらかというとしっとりめの仕上がり。
ベジのアメリカンドッグのようで、ケチャップがよく合う。
khaman dhokla
グジャラート発祥の食べるスポンジボブ。寿司でいうところの玉のよう。甘酸っぱい出汁がジュワッと出てくる。居酒屋のお通しっぽい。
ボンベイシジラーズでも食べたが、そちらはレストラン仕様でリッチな味わいがした。こちらのものは豆腐というか代替たまごというか、少しストイックな味わいがする。
Barshahi
デザートという扱いではなく、前菜として甘い揚げドーナツが提供された。
ミスドのオールドファッションとハニーディップを足して2で割ったような、パイのような味がする。
Thandai
ラスマライのつけ汁のようなもの。ミルク、カルダモン、サフラン、砂糖いっぱい汁。
そこにローズウォーターやローズペタル、ナッツも加えている。
ここまでが前菜だが、甘いものや炭水化物が多いのでかなりお腹いっぱいになってしまった。
ここからが本番。前菜が終わり、料理が色々と出てきた。
Kadhi
辛めであまり酸っぱくないカディ。白っぽい仕上がり。
ひよこ豆の粉とヨーグルトでできたシチューなのだが、お店によってバリエーションがたくさんあって楽しい。
Ker Sangri
日本では材料が入手困難なケール・サングリはラージャスタン以外ではほとんど食べられていないらしい。肉感があって山菜のよう。油とスパイス、塩が強くご飯に合う。枯れた感じがネパール料理などにもありそうな味。インドから持ち替えられた蓮根も追加。
ケールは写真の中のラージャスタンの豆のようなもので葉野菜のケールとは違う。サングリは枝のような形状のもので、食感はわらびのような山菜に近く感じた。
Dal Bhatti
ラージャスターンといえばダールバッティというくらい有名な料理。
砂漠のハードパン、バーティ。ひとつは中身がポテトマサラになっており、サモサのようでもあった。
保存が効くように固く仕上がっており、ギーが大量に染み込んでいる。口の中の水分が持っていかれる。
この日は大量に注文が入っていて、奥様はバーティを150個くらい作ったと言っていた。
Kachunbar
チャートマサラのかかった生野菜サラダ。
Gatta Curry
ベーサンを使ってソーセージ的なものを作り、緩めのヨーグルトのグレイビーに入れたもの。
油が多めに浮いていて辛さも強く、酸味もある。
ほぐれる食感はたらこのようで、ベジの代替魚卵という捉え方もできるかもしれない。
まとめ
日本ではマイナーなラージャスタン料理をリクエストして食べるという貴重な体験をすることができた。
全体的に腹持ちが良い(=消化に悪い)ものが多く、ベジと言っても満足感はかなりある。ヘルシーかどうかはわからないが、過酷な砂漠の環境を乗り越えるための料理だと知って食べると楽しいね。
お店の情報
基本的に店内飲食は顔馴染みしか受け付けていないらしい。
テイクアウトはフェイスブックページ、ホームページ、出前館、Uber Eatsから注文可能。
日本語もしっかり通じるので、電話していくのが一番確実。
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