ビリヤニだけのレシピ本!初心者にもおすすめです。
今年の夏、ビリヤニのポップカルチャー化の流れを反映してか、朝日新聞出版からビリヤニに関する書籍が出た。その名ももちろん、直球ストレートに『ビリヤニ』である。自分はもちろん即購入し、ビリヤニについて考えるための参考にした。
監修はおなじみ水野仁輔氏なのだがインド料理研究家の渡辺玲氏、ビリヤニ大澤の大澤孝将氏、Neo Ciulture曽我部智史氏にもレシピ提供を受けている。ビリヤニは写真を見るとある程度出来栄えがわかってしまうので、よく練られたレシピなのか、完成度がどうなのかがひと目でがわかってしまうのが恐ろしい。
レシピ提供者に加えてアジアハンター小林さん、イナダシュンスケさんにもインタビューを実行して対談を掲載しており、共著ではないがたくさんのビリヤニ専門家の人の協力のもと成立している本である。
ビリヤニはある意味、インド料理の中でとても特殊な料理だ。北インドの人は小麦が主食なのにおもてなしとしてビリヤニを出すことが多い。また、ミールスのように多くの料理を同時に作らないので保険がきかず、一発で技術と経験とセンスがすべて試されるような、総合芸術のような料理である。
この記事では、どういう人がこの本を買うとおすすめか、この本を買ってよかったこと、もう少しこいういう情報があればもっとよかった、などなど読んだ感想を率直にまとめてみます。買うのを迷っている人にとって少しでも参考になれば。
こんなひとにおすすめ
- ビリヤニ作り初心者
- ビリヤニ作りの参考になるレシピが欲しい人
- 日本語でまとまったビリヤニ情報が欲しい人
- 世界各国のビリヤニやビリヤニに類するものについて知りたい人
- とにかくいろいろなビリヤニを炊いてみたい人
こんな人にはおすすめじゃないかも
- ビリヤニの世界をすでに極めてしまった人
- ビリヤニとプラオの境界線について確固たる意見をお持ちの方
- ビリヤニというワードに踊らされる軽薄な世間が嫌いな人
- ビリヤニ以外もいろいろなスパイス料理を作りたい人
概要
本書ではビリヤニの射程を中東から東南アジアまで分布するビリヤニの仲間たち(ミャンマーのダンパウ、アラビアのカプサ、タイのカオモックヌアなど)まで広く対象にしています。
「ビリヤニは、おいしい!」
冒頭箇所では「ビリヤニは、おいしい!」と題してビリヤニの概要を説明しています。ビリヤニレベルやビリヤニフィーリングと題してレベル分けやどういう気分のビリヤニを作りたいかの表がついているので、オーソドックスなものからややマニアックなものまでいろいろな人に対応できます。
冒頭に載っているビリヤニの写真の炊け具合と、Wikipediaの受け売りかと思いますが世界三大炊き込みご飯が「パエリア、松茸ご飯、ビリヤニ」と紹介されているのは少し気になりますね。これはもとを正せばビリヤニ協会の冗談だという噂ですが…。
「ビリヤニ調理の基本」
「ビリヤニ調理の基本」という章ではビリヤニの調理法を大きく3つに分けて紹介しています。
生肉に半茹での米を乗せて炊くカッチ式、グレイビーを作ってから半茹での米を乗せて合わせて炊くパッキ式、生米で炊き合わせるボイル式の3つです。厳密には前の2つは「ダム」として同じに括られたり、ボイル式とプラオ式が分けられたりなど細かな分類はいくつかのパターンがあるみたいです。
ビリヤニレシピ22
本書に掲載されているビリヤニのレシピです。たくさん載っていますので、料理家からレシピ提供を受けているものを引用。
チキン・ダム・ビリヤニ
南インドのベジタブル・ビリヤニ
ハイデラバード風チキン・カッチ・ビリヤニ
フィッシュ・ダム・ビリヤニ
エッグ・ビリヤニ
マトン・ヤクニ・ビリヤニ
南インドのボイル式 マトンビリヤニ
ビーフカブサ
カオモックヌア
白ビリヤニ
途中には「ビリヤニ大澤」の大澤さんの、「15人分のマトンビリヤニを作る」ための大量調理のレシピ工程も載っています。一度やってみましたがこれはかなり難しいです。
その他にも「ビリヤニスパイスの使い方」、「各国のビリヤニ」、「ビリヤニインタビュー」などのコンテンツも充実していて参考になります。
感想
冒頭にビリヤニレベルとビリヤニフィーリングを診断する箇所があることからもわかるように、本書は幅広い層のビリヤニ需要に応えようとしている本です。すでに大量のビリヤニを炊くようになっている人には物足りない内容もあるかもしれませんが、初心者が家庭用で4人前程度の分量でビリヤニを炊くにはかなり役に立つ内容かと思います。
本書ではおすすめのお米をLAL QILLA SPECIAL OLD MALAIとしているのでレシピはそれ用に調整されているのだと思いますが、ふわふわで崩れやすいお米なので扱いは少し難しいと思われます。
ビリヤニにはLAL QILLA MAJESTICやDAAWAT CLASSICなどの表面が茶色いビリヤニ向きのお米を使ったほうがうまく仕上がりやすいです。
バスマティライスに関してはこちらもご参考に。
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