カレー本書評

【書籍紹介】世界のスパイスをめぐる冒険。TRANSITのスパイス特集

トラベルカルチャー雑誌『TRANSIT』の今号は「世界のスパイスをめぐる冒険」と題したスパイス特集。 

9月15日(水)発売の最新号 スパイス特集の中身をチラ見せ! 【53号 世界のスパイスをめぐる冒険】
"スパイスカレー"に魅了される人がぞくぞく増えています。カレーの他にも、ピリリと痺れる辛さが効いた中国の料理や、香り高...

自由に旅に出られない今、いわゆる「スパイスカレー」だったり、スパイスを使った料理が日本で大流行している。

その流れを反映してか、今号は200ページのうちほぼまるごとがスパイス特集。とにかく分厚い。

コロナ禍に突入し、自分もかれこれ一年半以上カレーを毎日作り続けているが、なぜ人々はここまでスパイスに魅了されているのだろうか。歴史的に言えば古代のミイラ作りにはシナモン、クミン、クローブなどが使われていたと言うし、大航海時代には胡椒が高価に取引され人命より重いときもあった。 

カレーは良い。毎日料理を作らなければならない状況になったとき、比較的簡単に作れて気分も変えやすく、体にも効能があるスパイス料理はもはや食べない理由がない。さらに、香り刺激は脳にダイレクトに響き、身体の中の自然を呼び起こす感じがする。

さらには、今号の特集にも通ずるところだが「スパイス」は全てに繋がっている。世界中の料理に使われているので旅に出るきっかけや異国の文化に興味を持つきっかけにもなる。また、本書の後半で扱われているように「食文化」、「進行と医療」、「香り」、「富と名声」、「旅」、「戦争」、「労働」、「経済」、「薬学」、「文化人類学」、「法律」などあらゆる方向の概念はスパイスとつながっている。スパイスは人間とともに育ってきたものだからだ。

狭義の「カレー」はスパイス料理の一部でしかないが、「カレー」をきっかけとして人生が変わった人がたくさんいる。それは多くの情報にアクセスし、世界を楽しむための鍵のようなものなのかもしれないと思う。

概要

目次はこんな感じで、とにかく情報量がすごい。かなりマニアックなところまで行っている。

スパイスのある風景 在本彌生 写真
スパイスの虹香る楽園へ/インド Tenzing Dakpa 写真 Priya Bala 文
芳香誘う古都さんぽ/タイ 古川節子 写真・文
古代の旅人からのおくりもの/バーレーン Ali Al Shehabi 写真・文
食べて治して医食同源の日々/中国 王 偉戎 写真・文
カレーのルーツをめぐる旅 2014から2019 17の国と地域 水野仁輔 写真・文
やんばるから広がるスパイスの輪/沖縄 在本彌生 写真

スパイスってなんだ?
世界のカレーストーリー
スハパイシービストロタップボーン南青山本店/モンティ13/馬来風光美食/インドネシアレストランチャベ目黒店/アンコールワット/ネパール民族料理アーガン

世界が恋する唐辛子
中東をめぐるハーブとスパイスの記憶 サラーム海上
U-Zhaanとぶらり東京スパイス旅

香辛料の歴史講座
食で見るインドの東西南北
カレーの定義とその先
おいでよ! ホームレメディの森
ちょっと危ない薬草学

日本カレー狂時代
日本カレークロニクル
食卓の上のカレー
カレー味とは何か 森枝卓士、水野仁輔
日本で花咲くカレービジネス 印度カリー子、稲田俊輔など
カレーハウスCoCo壱番屋創業者 宗次徳二インタビュー

東京カレーの系譜
大阪カレー最新7系統
クラフトドリンクの現在地 伊良コーラ/エシカル・スピリッツ
旅の記憶とスパイス料理レシピ

連載
World View
・今日の世界 ウイグル
・遠くへ旅するちいさな言葉 メキシコ/マヤ
・未来を拓く市民会議 ストックホルム
・79億分の1 南アフリカ
・NIPPONの国立公園/中部山岳国立公園(富山)

付録 キッチンに貼りたい! スパイス56種の植物図鑑ポスター

https://www.transit.ne.jp/contents/magazine/transit53.php

前半

冒頭はスパイスの旅をテーマにインドからタイ、バーレーン、沖縄まで。前半は写真が多く散りばめられており、現地系スパイス料理のお店紹介も含めてパラパラと気軽に眺められる。

 



真ん中には付録でスパイス植物図鑑ポスターが飛び出しており、聞いたことのないようなものもある。本書では初めの方に「スパイスってなんだ?」と題してスパイスの定義を試みているのだがそこでは

『ではスパイスとはそもそもなんなのか。』スパイスであるための条件は2つ、「植物」から採取されるということ、そして他の食材と比較して圧倒的に風味や香り、刺激が凝縮されていること。

と語られている。だからここにはわさびやしそなどの日本のハーブも含まれているのだ。

後半

後半は豪華な執筆陣による読み物企画が並んでいるが、これらもすこぶる面白い。スパイス戦争の話、インド料理の東西南北の分類、カレーの定義の話。中でも東京と大阪のカレーのお店の系譜をマッピングした「Evolution of Tokyo Curry/Osaka Curry」は、かなり泥臭い作業が必要だったんだろうなという素晴らしい企画だ。

中でも自分が特に目を引いたのは一番最後の『ちょっとアブナイ薬草学』という企画。ペヨーテやカーピなどの薬用植物や大麻の話などもりだくさんだった。たしかに、これもスパイスだもんね。


スパイスの成分は、元はと言えば植物が虫や動物から身を守るために細胞内に成分を蓄えたアルカロイド。それら「化学兵器」が時に人間に幻覚作用をもたらしたり、血流をよくしたりする。「毒」と「薬」に明確な境界線はなく、同じ成分でも使い方によってその姿を変える。植物というのは不思議だし、人体も不思議だし、それを利用し続ける人間は実は原始時代から変わっていない。スパイス料理やカレーというのは、都市生活にも取り入れやすい「小さな自然」なのかもしれない。、



薬の本という意味では、こちらもおすすめです。

インスタライブ

発売記念のインスタライブもやっていたみたいです!

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