2021年は人気のカレー店やインド料理店のレシピ本の発刊が豊富な年だった。名店がレシピ本を出しまくっていて、情報が氾濫している。曰く、自信のあるお店にとって、例えレシピを公開しても他の人には同じ味は出せないという。
お店でカレーを食べて、一体どうやって作っているんだろうという謎が浮かんだときにネタバレがあるのはありがたい。実際、お店のレシピと全く同じではないのだろうが少し雰囲気を近づけることができたり、実はこんなことやっているのか!という発見が面白い。
いくつかの本を購入したが、中でも頻繁に参照しているのがこの本だ。
本記事では魯珈自体の魅力と、このレシピ本の魅力を紹介したいと思う。
2022年初頭、魯珈を再訪
「SPICY CURRY 魯珈 」といえば新大久保にある言わずとしれたカレーの名店である。2016年のオープン以来多くのファンを獲得し続け、周年イベントの際にはそのカレーを食べるために前日から並ぶ猛者も続出する。
オープン当初に一度訪問して以来お店に行く機会がなかったが、テイクアウトのカレーを何回か分けてもらったときにその香りとパンチの強さに興奮してしまった。近いうちにもう一度行かねばなるまいと誓っていたまま2021年は終わった。
しかし幸運なことに、2022年の新たな年を迎えてすぐに訪問することができた。
早朝から記帳のために並び、店内に通される。カレーは温かでバッキバキに香っている。夢中で食べる。
カレーのクオリティはもちろんものすごく高く、なにかのスパイスが突出しているというよりはベーシックな南インド料理的なバランスのよさ。カレーはもちろんおいしいのだが、何よりもホスピタリティが溢れていて、少しだけのはずの滞在時間の体験がカレー店のそれではなかった。
うまくいえないけど武道の達人のような、軌道上を回り続ける惑星のような一流のオーラを受け取った。ような気がする。
カレーはおいしいんだけど、カレーをただ食べさせるだけのお店ではなく、カレーを中心に据えた宗教の聖地のようなエネルギーの高さがあり、睡眠不足だったにも関わらず元気をもらった。
決して小さくまとまらず、今年も頑張ろうと思った。
本の概要
本の紹介に移ろう。
まだすべてのレシピを試してみたわけではないが、約50種のレシピが載っている。あくまで基本は南インド料理に忠実でありながらも独自のアレンジが加えられ、カレーの幅も大変に広い。
某名店再現の「50倍ビーフ野菜カレー」、スリランカ風、和風…。手数が広い。まさにカレーを創作する楽しみを全面に押し出したようなレシピがこれでもかと乱舞している。
それも、家庭向けといいながらも内容は全く手加減していない。付け合せや簡単に作れるカレーアレンジビリヤニのレシピも充実しており、いたれりつくせりである。
特に面白いなと思ったのが、「パウダースパイスを入れたら基本的に5分以上煮込まない」という点と、ホールトマトは最後になじませる程度で仕上げるレシピが多いことだ。これはお店を訪問して食べたチキンカレーのトマトの感じとも同じだった。
影響を受けやすい僕はさっそくキーマカレーとベジクルマを作ってみた。
レシピは一定の法則に則って作られており、巨人の肩に乗る感覚があった。
インド料理ばかりつくる自分はやらないような要素が散りばめられていて、なぞっているだけで勉強になる。しばらくはレシピ本に忠実に、バキバキのスパイスカレーを作ってみようかな。
でも、どんなにレシピ本に沿って忠実に作っても、やっぱりまたお店に行きたくなってしまいそう。
コメント