自分がなぜそのカレーを食べたか、本当にそのカレーを食べたかったのかを全て説明することなんてできるだろうか。日頃、自分の行動を全て自分で決めていると思っていないだろうか。
実は意識は外界と内部モデルのズレを知らせてくれる新聞のようなもので、日頃の判断や行動を全て意識の上で行っているわけではない…、のかもしれない。しかし全てが決定論で片付けられるのかというとそんなこともない。
気づいたらそのカレーを食べに行くことが決まっている。情報が勝手に脳にインストールされている。そのような体験がたびたび起こる。
今回もそうやって情報が勝手に脳にインストールされ、気づいたら行くことになっていた。お店の名前はスパイスママ。
田原町駅の近くのコーヒーショップの定休日を利用して営業されている。いわゆる「間借りカレー」に分類されるのだろうか。
Twitterでフォローされたのが知ったきっかけだったのだが、プロフィールに何やらすごいことが書いてあった。
幼少期過ごした家族は5階建ての家に35名が一緒に住んでおり、母やおばあちゃんたちとお料理を毎食35名分作ってきました。
35名分の食事って、もはや小さな個人店の仕込みレベルですね。
バナナリーフにのったインドの家庭料理プレート
営業日が水曜と木曜の昼なのでなかなかタイミングが合わなかったのだが、祝日に営業となったタイミングがあったのでこれ幸いと食べに行った。お店に行くと先着は1名のみ。待っている間に温かいダージリン紅茶をいただいた。
店の外に漂うスパイスの香りが溢れんばかりで、うなぎ屋のように客寄せに役立っていそうだ。
そのあとまもなく入店することが出来たが即座に席はほぼ満席状態。お客さんは皆、Twitter経由で集まってくるのだろうか。
アーユルヴェーダ診断とチャイがセットになったものも気になったが、フルセットカレーを注文。
構成要素はひよこ豆、チキンカレー、トゥールダル、じゃがいもとナスのカレー、パパド、アチャールが2種類。ご飯は大盛りにできる。
全体的な印象として、まず優しい。とにかく塩分濃度とスパイス感が優しい。優しさって、強さかもしれない。
トゥールダルは、豆の形が残る程度にホロホロ具合に煮てある。チキンカレーは形がくずれるくらいまで柔らかく煮てあり、口に入れると溶ける。
なすとじゃがいものカレーは、トマトの酸味が生きた仕上がり。そんななか、ひよこ豆のカレーはホクホクと存在感と満足感を醸し出している。
反対にアチャールはしっかりと味がついていて、全体的にバランスをとる役割を果たしていた。
ご飯を大盛りにした割には量が少なめに思えたけど、食べ終わったあとには確かな満足感があって、なかなかお腹が空かなかった。
マハラシュトラのスパイス問屋で生まれたアルティさんは日本語も完璧で、かつては料理教室などもされていたらしい。
洗練された家庭料理は全くお腹にももたれず、とても優しい味でした。
インドって家庭料理とレストラン料理が全く別物で、家庭料理の方が上位カーストに位置するのかも知れない。
先日のアーンドラ家庭料理会も素晴らしかった。
個人的に頼むかインドに行くか、はたまた自分で作るかしかない家庭料理をいただけるのはとても貴重な場所ですね。
お店の情報
基本的に水曜、木曜営業。
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