チャイにも色々あるけれど、最近気に入ってよく作っているのがナツメグとジンジャーをメインの香りに置き、品質の高い牛乳を使った濃厚なミルクティー。インドでは基本的にスパイスが入らない煮出したミルクティーのことをチャイと呼ぶ。
チャイは中国語の「茶」からペルシア語になり、インドに来た言葉らしい。原義的にはミルクティーではなくお茶のことを指す。ネパール語だとチヤと呼ばれたりする。
毎日7回くらいチャイを飲む
インドを旅していると道端に屋台がたくさん出ていて、そこらじゅうでチャイが飲める。インド人の家庭でホームステイをしていても何かとチャイが出てくる。朝起きたらまずチャイ、職場に着いたらチャイ、休憩の際にはチャイ、食後にチャイ、家に帰ってもチャイ…。
茶は元々薬として扱われていたという歴史もあるし、甘くて適度に渋いチャイは暑い気候でも飲めてカフェインやエネルギー補給に向いているので重宝されるのかもしれない。
インドで毎日のようにチャイを飲んでいたが、店や作り手によって味はまちまち。正直美味しくないお店も多い。
日常的に飲まれるチャイはスパイスを使っていないものがほとんどで、1日に何度も飲むからか水の割合が多く、そこまで濃厚ではない。また、屋台ではコスト削減のためか砂糖ではなくサッカリンナトリウムという甘味料を代わりに使っていることも多かった。
どうせ日本で作るなら満足度の高いものを作りたい。牛乳成分が濃厚でお茶の味がしっかりしていて、少しスパイスが効いている感じのチャイが好きなので、そういう方向性を目指すことにする。
このレシピのポイント
・茶葉の量は多めで、水が半量になるくらいまで煮詰める。渋くならないギリギリのバランスを目指す。
・牛乳は低温殺菌のものを使う。120度以上で超高温殺菌しているものはタンパク質が変性してしまっているので風味が変わってしまっている。
・牛乳が多いチャイはdoodh pati chai/दूध पत्ति चायとも呼ばれる。直訳すると「牛乳と葉っぱ」、つまりミルクティーのことを指す。
・インドと日本で牛乳はかなり違う。インドの牛乳は濃くて甘い。殺菌されていない生乳のまま市販されており、脂肪球の均一化処理(ホモジナイズド)がされず乳脂肪分自体も高いため、放置すると自然にクリーム成分が浮いてくる。
・スパイスの量は最低限にしており、ベースになるのはあくまで煮出した生姜の風味。ナツメグパウダーを2回に分けて入れることで飲む前と飲んだ後両方にナツメグが効くような仕掛け。ナツメグはハンバーグなど肉料理に多用されるが、乳製品の臭みを消して適度な苦味が味を引き締め、風味を引き立てる効果もある。ナツメグは摂取しすぎると幻覚を見るというが取り過ぎなければ(4g以上摂取すると危険)大丈夫。ナツメグとクローブ、カシアは香気成分オイゲノールを共通に持つので相性が良い。この3つの香りを合わせたような香りがするのがオールスパイス。
・砂糖はある程度多めに入れないと茶葉とバランスが取れないのでやや多めに入れるが、好みに合わせて分量は変えていい。
材料(仕上がり約140g)
・CTC茶葉 6g →CTCは(Crush=つぶす/Tear=裂く/ Curl=丸める)の略。
・生姜 細切りにする 6g
・クローブ 3本 0.2g
・カシア 小さいひとかけ 0.2g
・ナツメグパウダー 0.2g(実を挽いてもよい。)
・水 90g
・タカナシ低温殺菌牛乳 150g
・三温糖 8g〜
作り方
・クローブとカシアは軽くコップの底などで砕くか、ミルサーで荒く挽いておく。
・鍋に水90ccを加熱し生姜とクローブ、カシア、ナツメグパウダーの半量0.1gを煮出す。蓋をして弱火で3分くらい。
・沸騰したら茶葉を入れ、弱火で蓋をして2分煮出す。濃い紅茶のエスプレッソを作るイメージ。牛乳を入れる前に水でしっかり茶葉成分を抽出する。
・牛乳を入れ中火で加熱し沸騰させ泡立たせ、火から離す。これを5回繰り返す。こうすることで水分が飛んで濃厚になる。
・仕上げに砂糖とナツメグパウダーの半量0.1gを入れる。砂糖をしっかり入れないと茶葉の味が引き立たないので最低でも8から9g程度入れる。
・茶漉しで茶葉を漉して飲む。いい感じにできていると注いだ時によく泡立つ。エアブレンドで空気を混ざるとまろやかになるというが正直よくわからない。甘味が足りなければお好みで砂糖を増やしても良い。
CTC茶葉のおすすめ
CTCは(Crush=つぶす/Tear=裂く/ Curl=丸める)の略。高級な茶葉は輸出用に回されてしまっていたので残っている品質の低い茶葉を美味しく飲むための方法として今のようなチャイが生まれたという。
牛乳のおすすめ
入手性と品質のバランスを考えるとこれがおすすめだが、別の牛乳を使ってもいい。
ナツメグのおすすめ
安心の大津屋。
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