そろそろ観光目的での海外旅行客を受け入れ始める国も出てくるような流れがあるが、まだまだ時間がかかりそう。そんなとき、日本にいながらでも簡単にトリップできるのがやはりレストランや食堂での食体験だ。
2021年にオープンした池袋のミャンマー料理店「Spring Revolution」では、現地感あふれるミャンマー料理が味わえる。ランチタイムはビュッフェで夜はアラカルトメニューを中心に提供している。
今回はランチタイムに訪れることができ、お客さんの9割がミャンマー人という状況で食事をしてきた。
ランチタイムビュッフェ
ランチタイムは1時間制のビュッフェスタイルとなる。
メニューは日によって変わるようだが、カレーが2種類、炒めものが2種類、卵焼き、モヒンガーという麺料理、生野菜のサラダ、スープ、カピという発酵調味料やデザート、ドリンクまで食べ飲み放題だ。
ビュッフェなんてご時世的なこともあるし一人でいくことはなかなかないのだが、今回は内心小躍りしながら色々食べてしまった。
モヒンガーはミャンマーの国民食とも言われる麺料理で、ナマズの出汁でスープをとるらしい。ピーナッツっぽいどろどろの風味があり、コクがあってうまい。コシのない素麺のような麺をかけて食べる。トッピングにはパクチーと唐辛子フレークをかける。スープをごはんにかけてもいける。
先日アーンドラ料理について調べているときに出てきたゴングラのスープがあった。ミャンマーの言葉では「ちんばうん」と言うらしい。ゴングラの酸味が効いている。
カレー的なものは2種類あり、豚の内臓とバラのカレーが一つと、マトンとチャナダルのカレーが一つ。どちらもスパイスの感じは似通っている。
ミャンマーのカレーってチェッターヒンに代表されるような、油で煮る状態にして表面を全て油膜で覆うようなものが多いのだが、今日食べたカレーたちはそこまでではなかった。
どちらかというとバングラデシュにありそうな料理に感じられた。豚肉は食べないだろうけど。
一瞬だけ魚醤やくさやのような香りを感じて仰け反ったのがガピだ。発酵調味料ガピはオキアミやエビなどを発酵させたもので、ミャンマーでは味噌のように毎日使う、なくてはならない調味料だという。
見た目はチャトニーのようだが、インドではこういう香りのするものをあまり食べないので驚いた。バングラデシュでは発酵したシュッキを食べたりするが、地理的に近いからだろうか。
春の革命
ミャンマー国内は混乱の状況が続いている。店内の物販も含めて、こちらの店の売上は全てミャンマーの支援にあてられる。
店名の「春の革命」の由来はミャンマー市民の闘いから来ている。
2021年2月以来、ミャンマーは軍の独裁者が起こしたクーデターにより、危機的な状況に追い込まれました。国軍は政権奪取のほか、軍に平和的に抗議する市民に残忍な弾圧を強めてきました。ミャンマーの人々は軍の行為に反対し、軍政の機能や経済活動を停滞させようとCDM(不服従運動)をはじめ、様々な手段を使って抗議活動を行っています。それが「春の革命」と言われるミャンマー市民の闘いなのです。抗議運動やCDM活動を行っている間、避難者や被害者が増え続け、長期間の無収入により、市民の生活が不安定な状況になってきました。そうした状況のなか、ミャンマー国内の生活に困窮した人々を助けたいという熱い思いで、在日ミャンマー人たちが力を合わせて、本レストランを開業する決意をしました。自由と平和のため、命をかけて戦っているミャンマーの人々への応援とともに、民主主義が戻るまで戦い続けるという熱意を含め、弊店の名前を『Spring Revolution Restaurant (春の革命)」と名付けました。店の収益は全てミャンマー支援のために充てられます。
店内は13時を回り始めるとだんだんと人が増え始めたのだが、お客さんの9割方はミャンマー人の団体客で、日本人は1割くらいしかいなかった。大体がリピーターらしく、勝手知ったる様子でスムーズにビュッフェをスタートしていく。
大きなテーブル席しかないので知らない人同士でもどんどん勝手に相席にされていき、店内はごった返してきた。周りが知らない言葉で満たされて、自分の預かり知らないところで論理が動いていく。
その端っこで自分は少しだけおこぼれに預かる。その置いてけぼりの感覚が嬉しいようで寂しいようで、また早く旅に出たくなる。
お店の情報
ランチビュッフェは1200円。
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