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カレーについて考えるコラム

ボッタはおいしい、でもそれだけだとなんか寂しい。

ベンガル料理におなじみの「ボッタ(ভর্তা)」というのがある。スペルにはブレがあるが音訳するとbhortaとなるらしい。


平たく言えば「具を手で潰してぐちゃぐちゃに混ぜたやつ」、というかそういう料理法なんだけど、とにかく「ボッタ」はおいしい、とにかくご飯がススムくん!というイメージがあった。日本の食べ物だとなめろうとかポテサラが近い。というかあれらはボッタの一種なのかもしれない。

で、何をとち狂ったか平日の夜に「ボッタを5種類作ってみよう!」と勢いづいてしまって夜も7時を回ってから作り始めてしまった。参考書は先日入手した「バングラデシュの家庭料理レシピ①」。


マスタードオイル が切れていたので賞味期限切れのマスタードオイル(100円引き)を家の近くのハラルマートで買い、並行して5つのボッタを作ることにした。

エビのボッタ、アル(じゃがいも)ボッタ、べグン(ナス)ボッタ、さんまと大根のボッタ、卵のボッタである。※卵のボッタはレシピ本にはなかった。


ボッタの工程

このレシピ本に従うとボッタは基本的に同じ工程を経て出来上がる。

・材料の下ごしらえをする(卵やじゃがいもは茹でる、魚やエビは下ごしらえして塩をしてから揚げ焼き、ナスは焼いて皮を剥く、など)
・玉ねぎスライスやみじん切りを用意する。じゃがいもなどには炒めた玉ねぎを合わせたりもする。
・具材に油で赤黒く炒めた唐辛子、刻んだコリアンダーリーフ、塩とマスタードオイルを合わせ、混ぜる。
・指先で潰しながら何度も何度も滑らかになるまで混ぜる。

ユザーン監修レシピ『ベンガル料理はおいしい』にはアジのボッタだけ掲載されていてそれは魚の揚げ焼きの時だけターメリックを使うのだが、今回参照したレシピは全くパウダースパイスは使わない。

マスタードオイルの内蓋が勢いよく吹き飛んでアルボッタに大量にぶちまけたり、こぼれたオイルでiPhoneがアチャールになったりしたが、夜9時半ごろようやくボッタが5種類出来上がった。

なんだかコレジャナイ感


これと米で食べ始めてみたのだが、なんだかコレジャナイ感。そして、ボッタばかり5種類も並ぶとまあ一つ一つは美味しいのだが段々口が乾いてきて、汁系のものが欲しくなる。 ボッタオンリーなど、食事としては満足度が低い。やはりボッタは酒のつまみか前菜的な立ち位置は超えられないのか。(イスラム教では許されないが




トルカリ高円寺というバングラデシュ料理店の店主に話を伺ったところ、「ボッタと同じ数だけバジがあるとボッタの美味しさが生きる」と言われた。バジは野菜を意味する「サブジ」と関係があるのだろうか、家庭でよく食べられている野菜の炒め物である。さすがはバングラデシュ料理とひたすら向き合ってきた店主、言うことが違う。


もう一つボッタの満足度が低い理由として思い当たるのは、ちゃんと手を使って混ぜなかったことだ。今右手の皮膚を怪我していて塩や油や唐辛子が滲みるから、スプーンを使ってしまったのだ。

バングラデシュのバイラブでたまたまアルボッタを作る場面に遭遇し、作るところをずっと見ていたのだが、じゃがいもを丹念に何度も何度も指先で捏ね回していた。本当に何度も何度も。チャパティの生地を捏ねてるんかと思うくらい何度も捏ねていた。


 

まず唐辛子と玉ねぎだけと油と塩を丹念に潰して混ぜる。そこにゆでたじゃがいもを乗せ、握り潰し指先で潰したりナックルで伸ばしたり、ぐちゃぐちゃにすること2分ほど。最後に丸くまとめて、ボッタは完成する。

やはり、ボッタを作る以上はこのくらい滑らかになるまで指を使って混ぜなければならない。それが愛なのだ。

ダッカのボッタ専門店

最後に、ダッカのボッタ専門店で食べたボッタ11種類の画像を貼って締め括りたいと思う。家庭ではこういう食べ方はあまりにめんどくさいのでしないと思うが、ここは普通の料理もありつつ、ボッタ11種類セットとご飯とダルが食べ放題、というコースだった。

ダルボッタ、生バナナボッタ、トマトボッタ、ミントボッタ、カロンジボッタ、ナスボッタ、ナスボッタ2、シュトゥキボッタ、唐辛子ボッタ、アルボッタ。一つコチュ?みたいな名前の食材が正体分からず。

とにかくご飯がススムススム。これはお店だから味がしっかりしており、油も結構使っていたのかな。あまり口が渇く感じもせず、とにかくライスを食べ続け、最後にダルをかけてシメた。カロンジのボッタは初めて食べたが、体に良さそうな味。そして、やっぱりシュトゥキボッタはうまいねえ〜。




この世の全ての食材は、ボッタにできるのではないかという気もしてくる。
ただ、ボッタは美味しいんだけど、それだけじゃなんか寂しい、と言うだけの話でした。

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