高円寺のペルシャ料理店ボルボルを訪問した。久しぶりの来訪だった。そういえば昔は店内でインコが鳴いていた記憶があるのだがどこへ行ったのだろうか。イラン出身のボルボルさんが2004年にオープンしたお店で、高円寺北口から出て西側に行って3分ほど歩いた位置にある。
ペルシャ料理の特徴
ペルシャはイランの古い名前なのでイラン料理店という方が正しいのかもしれないが、お店としては正式にペルシャ料理店を名乗っているようだ。
ペルシャ料理はインド料理と見た目や名前が近いものが多いが、唐辛子は使われない。ムスリム国家なので豚は食べないがラムや牛、鶏などは食べる。インド料理にない特徴としてセロリやハーブを多用することがあげられる。しかしターメリックやブラックペッパー、シナモンなどは使われていることもあるのでカレーっぽいものもある。
西方からの移民とともにインドに文化が流入してきた関係で、インドのイスラム王朝ではペルシア語が公用語となり、ムガル帝国の時代に現地の言葉とペルシア語が融合してウルドゥー語が生まれた。ウルドゥー語は今でもパキスタンや北西インドを中心に多く話されている。抽象的な概念を中心に、ボキャブラリーにはペルシア語やアラビア語からの借用語が多く混ざっている。
ボルボルで食べた料理
ナンとスープがセットでついてくる。ナンは丸っぽい形をしていて、やや甘め。パキスタンや西方のナンはもう少し素朴で甘くないものが多いため、普通に日本のインドネパール料理店の影響を受けているのかもしれない。スープは大麦と鶏肉の優しい味。一瞬ダールのようだが、レモンを絞るとおかずっぽく返信する。
MAHICHE
マヒーチェは羊の脛肉の煮込みで、ディルとそら豆の炊き込みご飯であるbhagali poloと一緒に食べられることが多いらしい。
ニハリのように骨ごと柔らかく煮込まれていて、触るだけでホロリと解ける。メジャーな作り方では玉ねぎやトマト、ニンニクシナモン胡椒サフランなどが使われていてほぼカレーと一緒なのだがペルシア料理では唐辛子が使われていない。辛味がないのでインド料理を食べ慣れていると若干違和感があるが、ペルシャ料理は大体そんな感じだ。
MIRZAGHASEMI
なすとトマトのディップで、ベイガンバルタのようだがかなり違う。
もう少しスモーキーな香りが強く、卵が混ぜられて粒々している。チキンムグライなどの名前で卵が混ぜられた料理があるが、そういう調理法はおそらくペルシアからやってきたのだろう。
KHORESHT-E FESNJAN
ざくろくるみソースの煮込み。ざくろとくるみが溶け込んだソースで肉を煮ているので、甘くてネットリして、果実感とナッツ感があるのが特徴だ。赤ワインでも使っているような感じがするがそれはないと思う。イランはザクロの原産地で、数千年前から栽培されてきた土地。イランはザクロ栽培の気候条件に見事に合致しており、イラン産のザクロは他の産地のものと全く違うらしい。ザクロはジュースとしても飲めるが料理に使ってもおいしい。
KHORESHT-E KARAFS
セロリ入りのビーフシチュー。セロリはインド料理で使わないので、あまりインドになさそう。牛肉が柔らかくなるまでセロリと一緒にしっかり煮込まれている。西洋の料理って感じがする。
4人で訪問し、4皿の料理をシェアしたらちょうど良い分量となった。水タバコやお酒も充実している。クラフトビールや中東のお酒も置いている。
金曜と土曜の夜は突発的にベリーダンスショーが開催され、1~2時間程度店内が音楽と踊りに包まれる。ベリーダンスはチャージもしっかり加算されているので、お目当てでない場合は金土を避けても良いかも。訪問時は開催されること自体を知らなかったので突然踊りに巻き込まれて驚いた(全員の前で踊らされた)が技術は確かで、十分楽しむことができた。お腹だけぶるぶる震わせるダンスはどうやってやるんだろうか。
お店の情報
年中無休で営業中。ランチタイムはメニューが限られる。
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