カレーを作る

チャパティ・ルーティーン

「インド人はナンを食べない〜」云々の言説はもう聞き飽きたし、それは嘘だからここには書かない。インド人はナンを食べる。ただし日本のあのナンはインドにはほぼ存在しない。

今回は北インドで広く食べられている素朴な全粒粉の無発酵パン、チャパティの話。南インドでもなんだかんだ食べるし、インド旅は常にチャパティと共にある。

インドでは「チャパティを上手に焼けない女性はお嫁にいけない」と言われるらしい。実際、僕がインドにいた時に住んでいたゲストハウスでは、毎食必ず焼き立てのチャパティを食べさせてくれた。

それだけ日常に根付いているというか、できて当たり前の家事ということなのだろう。近年は女性の社会進出の増加や中産階級の増加に伴う家事時間の減少に伴い、都市部ではチャパティを焼けない、というか料理があまりできない女性も増えてきているという。



自分はこれでもカレーJKなので嫁入り修行をしようと思いたち、毎週チャパティを焼くようになった。実は今まで、チャパティには少し苦手意識を持っていたのだが、とにかく試行回数を増やして経験のトータル量を重ねれば大体のことはできるようになるのだと実感。

だいたいいつも200gのアーター(全粒粉)を測って使う。

塩少々を加え、最初に150ccのお湯を軽量カップに入れて注ぎ、熱いうちにスプーンでかき混ぜ、少し置いてからこね始める。気持ちベタつくくらいの多めの水分を含ませるイメージで、こねているうちにお湯を足す。気分でクミンやアジョワンなんかを入れることもある。寒い時期に比べて夏は粉がまとまりやすく、比較的短い時間でKneedingの工程が終えられる。コネ終わったらラップをして30分くらい置き、あとは円く伸ばして焼くだけだ。


圧倒的にお米派なので、チャパティはイベントの時にこねたり伸ばしたりするくらいで日常食としては根付いていなかった。素朴でシンプル故にいくつか難関があり、実はチャパティを美味しく作ると言うのは結構難しいことだと思う。例えば、以下の4つの乗り越えるべきポイントがあるのではないか。

①粉の選定
②水加減
③整形
④焼き方


順番に考えてみたい。

①粉の選定

全粒粉の解説はこちら

こだわる人は自分で挽いたりするのかもしれないが、素朴なパンだからこそ粉の品質というのはやはり大事。日本で普通に売っている全粒粉はなんか粗いのでインドの粉を使うのが良いと思う。

小麦全粒粉のアーター(आट्टा)をこねて作るチャパティは北インド全土で広く食べられている。チャパティを揚げるとプーリー。日本でよく見かけるアーターはPillsbury社のものとAashirvaad社のものがある。『日本の中のインド亜大陸食紀行』によると、Aashirvaad社の方が粗挽き感が強く、Pillsbury社の方がより粉末が細かいらしい。

自分は普段Pillsbury社のアタを使っているが、いまちょうど家にあるのはAashirvaad社のアタ。両方試してみて確かに後者の方がザラザラ感が若干上回る気がするが、好みの範囲内のような気がする。個人的には繊細な感じがしてPillsuburyの粉の方が好きだ。

Pillsubery社のアーターは、3種類ある。普通の全粒粉と、雑穀入りの全粒粉と、よくわかんないけどGOLDな粉。GOLDは新商品で、先日試してみたのだがマジでうまい粉だった(語彙力)。特に値段も高くないので、今使っている粉が終わったら次はこれを買い続けたい。

冷めても柔らかいGOLDアタ(一番おすすめ!)

【ピルスバリ】ゴールドアタ 1kg
チャパティがソフトに焼きあがる「ゴールドアタ」


普通の全粒粉(CHAKKI ATTA) *CHAKKIは石臼

6種の雑穀入りのATTA



②水加減

粉100gに対し、水75gが基本だというが、これでは足りないことが多い。自分もなかなかちょうどいい水分量がつかめず探り探りだった。少しベタっとするくらい多めの水を入れることと、しっかりグルテンが生成され、引っ張っても千切れにくくなるくらいまでこねることがポイントだということだ。

自分は水ではなくて少し冷ましたお湯を使う。小麦は60度くらいから糊化が始まり95℃をピークとして粘度が増すため、お湯を使った方が早く仕上がると教わったからだ。

でもどうなんだろう。多くのレシピ本では水を使っているし、インドで実際に作っているところを見たけど大体水を使って捏ねていた。ちゃんと比較したことがないのでわからない。今度比べてみよう。


③整型

むかし、河原でチャパティを伸ばして焼いていた時に大根で麺棒の代用にしていたけど、できれば専用の道具を買って使うといいと思う。チャクラ(台)は大理石でできているので重くて安定しているし生地が張り付きにくい。ベルナはなるべく重みのあるものの方がよく、麺棒のように全体が同じ太さのものよりは両側が細くなっているものの方が使いやすいと思う。

自分はティラキタで、セットで売っているものを購入して使っている。


生地を手でちぎって団子にし、打ち粉をつけてまず潰れた円柱にする。生地を回しながら円状にしていく。50gの生地なら均一の薄さで16〜18cmくらいに伸ばすのが目安だという。打ち粉をなるべく大量につけながら作業すると滑りが良くなり、うまく伸びる。多少いびつでも薄さが均一になっていればおk。

最近は円く伸ばせない人のためにこんなチャパティ伸ばし機も発明されたらしい。結構高いな!
でも主食がほぼチャパティの場合、インドの大家族では1日に100枚近くもチャパティを焼かないといけなかったりするので、重宝されているのかもしれない。慣れたら普通に手で伸ばした方が速そうですが。

たくさん作る大変さは身に染みてわかっているので、チャパティマシーンを使っていても手抜きとか言えねえ。




③焼き方

ポイントとして焼き方も挙げてみたが、焼き方にはそんなにコツはいらないと思う。焼く段階で、今までの工程がうまく行っていたかの結果がわかる。

よく熱したフライパンに生地を乗っけて、片面ずつ焼く。浮くような時や分厚い場合は濡れフキンで押さえながら押し付けるように焼く。テフロン加工のフライパンは表面の温度が上がりきらず、いまいち焼き目がきれいにつかないかもしれない。

最後にガスコンロで直火焼きしてプクッと膨らむようなら成功。インドだとチャパティ専用のフライパン(タワ)が売っているけど、ヘリがないからひっくり返しやすいが汎用性に欠ける。しかし、厚めの鉄でできているタワはチャパティ専用にしか使えないとしてもやはり必要なものらしい。タワが欲しいな〜。

うまく均一に円形に伸ばせていると本当にきれいに球形に膨らむ。きれいに膨らんだチャパティは大体美味しくて感動する。

安定して良いチャパティが焼けるようになったら、いつでも安心してお嫁に行けるね。

最後に

年末、ムンバイのミールス店で見たチャパティのオートメーションマシン。

詳細はこちらの記事に。

#36 ムンバイのカルナータカミールス店で、チャパティ製造マシーンを見た|カレー哲学|note
僕は、旅をしているからって何か特別なことをしたりしない。 旅先で新しいこと、面白そうなことがあったら積極的に首を突っ込むが、全然観光しない。食べものに関連のある土地の歴史は結構調べる。 旅と日常は陸続きであってほしいし、仕事も生活も旅に内包されたものであってほしい。ここぞとばかりに焦ったり急いだりするのも好きじゃ...

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